
最近、よくニュースで話題になる言葉の一つが働き方改革。
ただ、その具体的な内容はいまいちよく分かっていない方も多いかと思います。
そこで今回は、この働き方改革とは何かを知り、
またその目的をわかりやすく簡単に解説していこうかと思います。
働き方改革とは?
働き方改革とは、一言で言うと
政府が目指す一億総活躍社会を実現するための改革です。
一億総活躍社会とは、
誰もが生きがいを持って、その能力を最大限発揮できる社会のことで、
非正規雇用、長期労働、育児や介護との両立などの問題を
働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、
働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるように
することを働き方改革では目指しています。
この働き方改革実現会議では、安倍首相が中心となり、
2016年9月27日~2017年3月28日まで計10回に渡り行われ、
「非正規雇用の処遇改善」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」等、
9つの分野における具体的な実行計画とその実現に向けたロードマップが示されています。
働き方改革:9つガイドライン案
- 非正規雇用の処遇改善
- 賃金引上げと労働生産性向上
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
- 外国人材の受入れ
- 女性・若者が活躍しやすい環境整備
- 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
- 高齢者の就業促進
また、働き方改革のニュースでは
働き方改革の5本柱という言葉がよく出てきますが、
これは第1回目の会議が行われる際に閣僚が発した、
下記の5つの項目が大きな論点となるだろうとの発言から。
働き方改革の5本柱
1.同一労働同一賃金
「非正規雇用の処遇改善のためには法整備は避けて通れない。先行して円滑な実施に向け雇い主向けガイドラインを年内を目途に策定すべきだ」
「(労働者側の理解を得るには)いろいろな意見を聞いていく。まずはガイドラインを作り混乱で円滑な移行が進まない状況を是正する。その上でパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法を来年に改正したい」
2.長時間労働の是正
「(法定労働時間外や休日に従業員を働かせるために労使で結ぶ)36(さぶろく)協定の見直しが必要だ。時間外労働の上限を新たに規定する必要がある。各企業の自助努力だけではなかなか解消できない。一定の法的基準を設置する」
「(基準を守らない企業には)罰則をしっかりと検討したい。守られなくても全く構わないということでは、いつになっても長時間労働の是正はできない」
3.配偶者控除から「夫婦控除」への移行
「柔軟な働き方に向けては中立的な税制、社会保障制度を作る。『夫婦控除』は(配偶者控除では)103万円の壁にぶつかり、もっと働きたいのに抑制されてしまう現在の状況を改善する」
「できれば年末の税制改正大綱に盛り込み、来年の通常国会で関連法案の改正を目指したい。配偶者控除は制限がないが所得制限を設ける必要がある。それが800万円、900万円、1000万円になるのか、全体の税収との関係も含めて検討していく」
4.雇用のミスマッチ解消
「人材育成、職業訓練、資格取得、社会人学び直しなどに雇用保険積立金を活用することが重要だ。(返済不要の)給付型奨学金を来年度から創設をしたい」
「あまり厳格な要件は設定しない方向だ。成績要件以上に家庭の状況などを考えたものにすべきではないか。基本的には格差を固定させない、誰にでも機会のある教育の充実という観点から取り組みたい」
5.外国人労働者受け入れ
「育児や介護の人材不足解消が必要不可欠だ。必要な分野に着目し、単に専門職に限らず、具体的にどう受け入れていくか検討を進めたい」
「(移民問題もあり反対が根強いが)移民とは違った分野での受け入れのあり方を検討する。どこかの国からこれだけの分野の人をどれだけ受け入れるという実績を積み上げることが重要ではないか」
※最終的な「9つのガイドライン案」と初期構想の「5本柱」では、
1.同一労働同一賃金 → 1.非正規雇用の処遇改善
2.長時間労働の是正→ 3.長時間労働の是正
3.配偶者控除から夫婦控除への移行→ 7.女性・若者が活躍しやすい環境整備
4.雇用のミスマッチ解消→ 8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援
5.外国人労働者受け入れ→ 6.外国人材の受入れ
にそれぞれ対応している。
参照:働き方改革の9つの分野:実行計画工程表(首相官邸)
まとめ
働き方改革とは、安倍首相が中心となり進めている、
政府が目指す一億総活躍社会を実現するための改革です。
- 非正規雇用の処遇改善
- 賃金引上げと労働生産性向上
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
- 外国人材の受入れ
- 女性・若者が活躍しやすい環境整備
- 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
- 高齢者の就業促進
の9つのガイドライン案にまとまっており、
この工程表の方針に沿って関連法案の策定や法改正の閣議決定を進めています。
「働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるように」という
大義名分の元で行われているのが働き方改革であり、
これは一見して働く国民にとっては良い改革のように思われるかもしれません。
ただ、法案の策定の中で、様々な人間の思惑が絡み合うことで、
実は国民にとって不利益な決定が行われている可能性もあるので、
正しく状況を理解し、私たち国民が注意を払うことが必要になってきます。
そこで続いては、この働き方改革で起きうる、
残業時間の改悪問題についてみていきましょう。
→ 働き方改革で起こる残業時間の改悪問題とは!?長時間労働は減らずに残業代が減るだけ?
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